福井豪雨災害 私たちは動いた!〜協設協営(福井方式)での取組み〜

理事長 松森和人(当時 福井県水害ボランティア本部 センター長)


7月18日(日)午前8時、私たち「ふくい災害ボランティアネット」は、同月13日に発生した新潟豪雨災害の支援のため、一般参加者も含め新潟県三条市水害ボランティアセンターにいた。各地から駆けつけてくる大勢のボランティアに対応していると、福井で連絡要員として残っていたスタッフから、物凄い雨が降っていると連絡が入る。そして、「各地で避難勧告が出ています」と続けて連絡が来る。『どうするか、帰るか、もう少し様子を見るか』と悩む。三条のボランティアセンターの中枢は福井が担っている。ここで抜けても大丈夫なのか、と考えているときに福井から連絡が入る。「美山で、1時間に87ミリ降りました。
避難勧告エリアはどんどん増えています」、87ミリと聞いて呆然とした。何が起きてもおかしくない雨量だ。足羽川のどこで堤防が決壊してもおかしくはない。決めた、帰ろう、すぐに。時間は午前10時を少し過ぎていたと思う。


目まぐるしく役割の引継ぎをし、現場に出ている参加者を呼び戻し、レンタカーを借り、正午、私たちは三条市の被災地を出発した。渋滞を迂回し何とか高速道にのった。午後1時45分、福井から決定的な連絡が入る。「足羽川左岸、木田橋付近で決壊、避難指示が発令」。車の中は沈黙となる。とうとう来たか。すぐに最寄のサービスエリアに入り、全員に状況を報告する。「今度は自分たち
の町で災害ボランティア活動だ。」

同日午後7時から、福井県災害ボランティアセンター連絡会の緊急会議を開催。被害実態はまだ明確になっていないが、ボランティアセンターが必要になるのは明確のため、すぐ『県水害ボランティア本部』設置を決定した。今立町でボランティアセンター開設の交渉をしていたメンバーに連絡する。予想通り、町財政の問題でセンター開設を躊躇していたが、「本部が起った。資金の心配は要らない。安心して任せてくれと言ってくれ」。同日午後8時、今立町水害ボランティアセンター設置決定。場所も町ふれあいセンターに決定。更に、仮設電話もその日のうちに開通、会場準備も午前0時には終了していた。新聞が初めて福井豪雨災害を伝える明朝から、活動開始だ。異常なまでの速さでの対処だった。



水害の場合、被災者が家屋に戻り片付け始めたところから、ボランティアニ
ーズが発生する。一時でも早く被災者のもとへボランティアの手を届ける。これが災害復旧に大きく影響をする。一人でも多くのボランティアの力を、早急に集め、無駄にせず、効率よく救援を求めるところへ届ける。それが私たち『県水害ボランティア本部』の使命。そのため私たちは、躊躇せず、休まず、立ち止まらず突き進んだ。19日今立、20日福井市、21日美山と、被災地に入れた順番で現地ボランティアセンターを開設していった。無我夢中で突き進んだ20日間、延べ6万人のボランティアが集まった。暖かい善意の力が集まった。それが、「勇気をもらった」「元気が出た」「もう一度がんばる」など、被災者の方へ明日への力としてつたわった。


今回私たちが、このような活動ができたには理由がある。97年の重油災害の教訓から、福井県には「福井県災害ボランティアセンター連絡会」という組織が常設されている。県域で活動する主だった民間団体15団体で構成(事務局は県)され、もし県内で災害が起きた場合、そこが主となってボランティア活動を実践していくとなっている。また、重油災害義援金の一部(1億3千万円)を、災害時のボランティア活動の資金としての「災害ボランティア活動基金」を創設した。これらが、非常に効率よく安定的な活動を支える要素となった。

二つ目に「協設協営」の取組みだった点である。通常ボランティアセンターは、『場』は公(行政)が提供し『運営』は民間(ボランティア)が実行する、「公設民営」が殆どだ。これには欠点がある。公と民が対立しやすいのだ。それも重油災害時に経験している。そこで私たちは、行政もボランティアも一丸となって取組む方法、協働で設置し協働で取組む「協設協営」で走った。お互いが協力に連携し合い、お互いの特性を活かし、責任を共有し、一時も早く復興するために一丸となった。これが『福井方式』だ。

最後に重要なキーワードがある。「信頼」だ。どんなに進んだ仕組みや制度があっても、それらを運用するのは人間。信頼関係がなければ、どんな制度も活きてはこない。絵に描いた餅となるだけだろう。幸い、私たちは昨年来から様々な訓練や研修を、共に実践してきた。それらの積み重ねが、お互いに「信頼」というものになったのだと思う。これが、より強い協働を生み出した。これらは全て、阪神大震災や重油災害を教訓として『備え』られたものだ。そのお陰で、反省点も多々あるが、かなりの成果を得ることが出来た。備えることの重大さを強く実感した。今後は、この結果に満足せずに、正しく評価し更に『備え』を進めていくことが重要と考える。

最後に、水害ボランティア活動時に、様々なご協力、ご支援をいただき、心よりお礼申し上げます。

福井豪雨災害被害200491現在)

■人的被害 

死者:4名 行方不明:1名 負傷者 :9

■住家被害(棟)

 全壊:66 半壊:135 一部損壊:229

 床上浸水:4,052  床下浸水:9,675

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水害後の動き

・内閣府水害ボランティア懇話会

・災害出動:香川県高松市、愛媛県新居浜市、
三重県海山町、京都府舞鶴市、宮津市、静岡県
伊東市等へ物資配送、ボランティアバスで支援
活動(三重・京都・兵庫・新潟)

・「障害者とともに考える防災」等講習活動多数

・京都府ボランティアコーディネーター研修会


2004年7月18日、福井県は豪雨災害にみまわれ、各地で甚大な被害がでました。われわれの会員にも被災された方もいました。そんな中懸命なボランティア活動がなされたお陰で、ようやく応急的な復旧は一段落を迎えることができました。本当にご苦労さまでした。この災害は、我々の活動の真価が問われるものでもありました。直接センター運営に関わった方も、被災家屋で作業をされた方も、後方で支援していただいた方も、仕事や学校の関係であまり関われなかった方も、これまで会員みんなで培ってきた軌跡があったおかげで、充分に評価される結果をあげることができました。本当にありがとうございました。また、賛助会員ならびに顧問の皆様の温かいご支援があったからこそ、ここまで活動ができました。心より御礼申し上げます。

 新潟豪雨災害、福井豪雨、新居浜水害、高松、三重、静岡、京都、兵庫と災害は続けて襲ってきています。更に新潟中越地方を地震が襲い、多大な被害が発生しています。それらの多くに対し、我々ふくい災害ボランティアネットは支援活動を展開しています。今後の活動に対し、ご支援いただけますようお願い申し上げます。

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